直火にさらし、さらに500℃の炉内で60秒間。こうした高温暴露後にも、原形をとどめた樹脂があります。
バッテリーパックの材料選定では、通常使用時の耐熱性や難燃性に加え、異常時に「部品が消失しにくいこと」にも目を向ける必要があります。セルの間を隔てる部品や絶縁部品が失われれば、隣接するセルへの熱の伝達や、導電部の露出につながるからです。
伸利では、材料の性質だけでなく、つくれる大きさ、成形設備、インサートの有無まで含めて、熱暴走対策を重視した樹脂選定を提案します。
直火と500℃の高温暴露。それでも原形が残った樹脂
以下に、高温暴露試験の方法と、試験前後の試験片の画像を示します。

対応可能な評価機関が限られる、厳しい条件での高温暴露評価の試験片写真と試験方法の説明図。
ここで確認したのは、当該条件の後に外形が残ったことです。この樹脂の正体については後ほど。
熱暴走対策で重視したいのは「消失しにくさ」
難燃性は、材料が燃え広がりにくいことや、着火源を除いた後に燃焼が続きにくいことを評価する性質です。しかし、難燃性のある樹脂でも、強い熱を受け続ければ溶融や分解が進み、部品としての形を失う場合があります。
セルホルダー、インシュレーター、パック内の隔壁に求めたいのは、炎が消えることに加え、異常時にも必要な場所に材料が残り、熱や電気を隔てる役割をできる限り維持することです。伸利は、この観点を「消失しにくさ」として材料選定の入口に置いています。
ただし、炭化物や充填材が残っていても、電気を通しやすくなったり、脆くなったりすることがあります。残った外形と、残った機能の両方を評価することが大切です。
成形できる大きさなら、熱硬化性樹脂を第一候補に
冒頭で紹介したタフな材料は、不飽和ポリエステル系の熱硬化性樹脂です。熱硬化性樹脂は、成形時の反応で硬化すると、熱可塑性樹脂のようには再溶融しません。この性質は、高温時の形状保持を考えるうえで大きな検討価値があります。ただし、さらに温度が上がれば熱分解が起こる可能性があり、「溶けないから消失しない」という意味ではありません。
本稿では金型を用いた射出成形に対応する材料を選定の条件とします。熱硬化性樹脂では不飽和ポリエステル系のほか、フェノール樹脂の成形材料があります。
一方、熱硬化性樹脂の射出成形には、材料の供給・温度管理・金型内での硬化に対応した専用仕様の設備が必要で、一般的な熱可塑性樹脂に比べて対応できるメーカーはそう多くありません。材料選定と同時に、どの設備でつくるかを決めることが重要です。
熱硬化性樹脂の成形設備とサイズの目安
| 成形機トン数 | 部品サイズ・重量の目安 | 伸利が検討する際の目安 |
|---|---|---|
| 180tクラス | 投影寸法でA4程度、重量200g程度 | 国内成形機では標準~大き目 |
| 国内450tクラス | 投影寸法で320mm角程度 | 国内成形機では希少 |
| 海外1,000tクラス | 寸法・重量は個別確認 | 熱硬化性樹脂成形機としては世界最大級(伸利調べ) |
必要な寸法と形状を成形でき、部品評価で要求を満たせるなら、熱暴走対策を重視する用途で伸利がまず推奨するのは、不飽和ポリエステル系や耐火用途のフェノール樹脂成形材を中心とした熱硬化性樹脂と言えるでしょう。
熱硬化性樹脂での対応が難しい大型部品には、PPS
大型樹脂部品にはPPSによる大型射出成形を有力候補とします。
PPSは、耐熱性、難燃性、耐薬品性に優れ、吸水による寸法変化が小さい結晶性の熱可塑性樹脂です。電気絶縁用途にも検討され、ガラス繊維などで強化することで、剛性と寸法安定性を求めるバッテリーパック部品の候補になります。紫外線に長期間さらされる環境下では外観が変化する可能性があるため、注意が必要です。
伸利には、最大1,600tの成形機を用いて、800mm角の大型PPS部品を製作した実績があり、筐体や大型の絶縁・保持部品について、射出成形用金型の設計・製作、インサート成形、インサート部品の手配まで含めて対応可能です。
バッテリーパックの樹脂選定・部品製作は、伸利へ
「異常時にも部品をできるだけ残したい」「熱硬化性樹脂でこの大きさをつくれるか」「大型部品をPPSで検討したい」。材料選定と製作先探しを、別々に進める必要はありません。
伸利では、材料・金型・成形・評価先をつなぎ、製作できる仕様へ具体化します。
図面が未完成でも、部品の大きさ、使用環境、数量、インサートの有無、確認したい条件等をお知らせください。バッテリーパックの樹脂選定と部品製作は、ぜひ株式会社伸利へご相談ください。

